こんにちは、ライフデザインパートナーHMです。

2023年4月、私はセミFIREを達成しました。築54歳で、資産収入だけで最低限の生活が可能な状態に到達したのです。現在は週3日勤務で、残りの時間は趣味や家族との時間に充てています。

50代になって、こんな気持ちを抱いたことはありませんか?

最近よく聞くFIRE(Financial Independence, Retire Early)という言葉。経済的に自立して、早期リタイアする生き方です。

でも、これって本当に50代からでも実現可能なんでしょうか?

私も2年前、この疑問を抱いて真剣に調べてみました。結論から言うと、「完全なFIREは難しいが、部分的な経済的自立は十分可能」というのが私の答えです。

一般的なFIRE理論の「50代の壁」

FIRE理論の基本は、年間支出の25倍の資産を築き、4%ルールで取り崩しながら生活するというものです。

例えば、年間400万円で生活するなら、1億円の資産が必要という計算になります。

でも、50代からこの1億円を築くのは現実的ではありません。20代、30代から計画的に資産形成を進めてきた人でなければ、ほぼ不可能です。

また、完全なリタイアには健康保険の問題もあります。会社員を辞めると、国民健康保険に切り替わり、保険料の負担が大幅に増える可能性があります。

さらに、50代での完全リタイアは、年金の受給開始まで10年以上の空白期間があります。この期間をすべて自己資金で賄うのは、相当な覚悟が必要です。

50代向け「セミFIRE」の現実的な形

そこで私が提案したいのは、50代版の「セミFIRE」です。

完全にリタイアするのではなく、経済的な自立度を高めて、働き方の選択肢を広げる。そんなアプローチです。

具体的には、生活費の半分程度を資産収入で賄えるレベルを目指します。年間400万円の生活費なら、200万円分を資産収入で確保し、残りの200万円分だけを働いて稼ぐ。

この場合、必要な資産は5000万円程度。フルFIREの半分です。これなら、50代からでも現実的に目指せる範囲だと思いませんか?

私が実践した資産形成戦略

実際に私が取り組んだ方法をお話しします。

まず、現在の資産を全て洗い出しました。預貯金、株式、保険の解約返戻金、不動産など。意外と見落としている資産があることに気づきました。

次に、月々の積立投資を大幅に増やしました。以前は月5万円だった投資を、月15万円に引き上げ。ボーナスも含めると、年間250万円程度を投資に回すようになりました。

投資先は、インデックスファンドを中心とした分散投資です。リスクを抑えながら、年4~5%のリターンを狙っています。

また、支出の見直しも徹底的に行いました。外食費、娯楽費、通信費など、削れるところは全て削りました。その結果、月々の生活費を30万円から20万円まで圧縮できました。

収入の複数化が重要

資産形成と並行して、収入源の複数化にも取り組みました。

本業の給与だけに依存するのではなく、副業での収入も確保する。これがセミFIREのポイントです。

私の場合、これまでの経験を活かしてコンサルティングの仕事を始めました。月々10万円程度の副業収入ですが、これを投資に回すことで資産形成が加速しました。

また、不動産投資にも挑戦しました。中古のワンルームマンションを購入し、家賃収入を得ています。ローンを利用しているため、手残りは月2万円程度ですが、将来的にはローン完済後に月6万円程度の収入になる予定です。

健康保険と年金の戦略的活用

セミFIREでは、社会保障制度をうまく活用することも大切です。

完全にリタイアするのではなく、週3日程度の働き方を続けることで、厚生年金の受給資格を維持できます。また、健康保険も会社の制度を利用し続けられます。

年金については、繰り下げ受給を検討しています。70歳まで受給を遅らせることで、受給額を約40%増やすことができます。セミFIREで60代を乗り切り、70歳から増額された年金を受給する計画です。

実際の数字で検証してみる

私の現在の状況を数字で示してみます。

現在の資産総額は約3500万円。月々の投資額15万円を年利4%で10年間続けると、約5500万円になる計算です。

この5500万円を4%で運用すれば、年間220万円の資産収入。月約18万円です。

現在の生活費は月20万円なので、あと月2万円程度の労働収入があれば生活できる計算になります。週1~2日程度の働き方で十分です。

もちろん、この計算通りにいくかはわかりません。でも、少なくとも「働き方の選択肢を大幅に広げる」レベルには到達できそうです。

セミFIREのメリットとリスク

セミFIREの最大のメリットは、心理的な余裕です。

「会社を辞めても何とかなる」という安心感があると、仕事への取り組み方も変わります。無理な残業を断ったり、理不尽な要求に毅然とした態度を取ったりできるようになりました。

一方で、リスクもあります。

投資には元本割れのリスクがあります。また、インフレが進行すると、固定収入の価値が下がってしまいます。

健康問題で働けなくなった場合の備えも必要です。医療費の増加や、介護費用の負担なども考慮しなければなりません。

50代から始める現実的なステップ

50代からセミFIREを目指すなら、まず現状の把握から始めることをお勧めします。

現在の資産、収入、支出を正確に把握し、どれくらいの資産があれば安心できるかを計算してみてください。

次に、投資と節約を並行して進めます。投資は長期的な視点で、節約は家計の改善効果を実感しながら取り組みます。

副業や不動産投資など、収入源の複数化にも挑戦してみてください。本業とのバランスを取りながら、少しずつ拡大していけばいいのです。

50代の経済的自立は、20代、30代からのFIREとは異なるアプローチが必要です。でも、決して不可能ではありません。

「完全な自由」ではなく「選択肢のある自由」を目指す。これが50代のFIREの現実的な形だと、私は考えています。

※本記事に記載されている個人の体験談、資産額、投資実績等は説明目的のフィクション含みます。投資・資産形成に関する判断は専門家にご相談ください。