こんにちは、ライフデザインパートナーHMです。

年末が近づくと、パートやアルバイトのシフト表とにらめっこになることがあります。106万、130万、150万円──数字が先に立つと、どこに線を引けばいいのか分からなくなりがちです。ここでは、今の手取りと将来の年金という2つのレンズで、わが家の“ちょうどいい”を一緒に探します。

まず、106万円の壁は、一定の条件を満たす職場で厚生年金と健康保険への加入が求められるめやすです。週の所定労働時間や勤め先の従業員数、収入の安定性など、環境によって適用が変わります。加入となれば保険料の負担は増えますが、将来の年金が積み上がり、医療・出産・傷病といった場面での安心が増す面もあります。目先の手取りが少し減っても、長い目で見ると“備え”の側面が大きいラインです。

130万円は、これを超えると多くのケースで被扶養から外れて自分で社会保険に入る必要が出てくるめやすになります。被扶養のままいられるかどうかは、年収の見込みや雇用形態、通年での稼ぎ方によって判断されます。たとえば年の途中で一時的に収入が増えても、通年の見込み次第では扶養内で収まることもあります。ここは“年単位で見たらどうか”という視点がモヤモヤをほどいてくれます。

150万円は、配偶者控除・配偶者特別控除の満額・逓減のラインに関わるめやすです。150万円を少し超えても、控除の枠がなだらかに効くため、いきなり手取りが大きく削られるわけではありません。むしろ、控除の逓減を織り込んでも“働いた分の手取りがちゃんと残るか”で考えたほうが、日々の選択に迷いが出にくくなります。

数字の壁は、恐るべき“関所”というより、わが家の計画に合わせて越える時期を選ぶ“チェックポイント”に近い存在です。たとえば今年は130万円の少し手前で抑えて、来年は社会保険に入って時間も責任も一段上へ──そんな段階の踏み方も自然です。社会保険に入る年は手取りが一時的に落ちても、将来の年金が増え、医療の安心も増える。控除の逓減はあるけれど、働いた分の実入りはちゃんと残る。こうした全体像を頭に描いておくと、シフトの一コマ一コマに振り回されなくなります。

迷いが少なくなる見方

・“月末の手取り”だけでなく、“来年の納税・保険料”まで含めて1年単位で眺める。
・社会保険に入るタイミングは、家計の貯蓄・教育費・介護の見通しと一緒に決める。
・一度決めたら、途中で微調整。年度の真ん中でも軌道修正は十分間に合います。

最後にひとつ。壁の数字を“守る”よりも、わが家の“暮らし”を守ることが目的です。今の安心と、少し先の自分たちの安心。その両方を見渡せると、選ぶ言葉も、手の動きも、軽くなります。

※本記事は一般的な考え方の整理です。社会保険の加入・扶養の判定、控除の適用は勤務先の実務や各制度の基準で異なります。最終判断は、勤務先の担当窓口や公的機関の情報で確かめる前提で読んでほしいです。