こんにちは、ライフデザインパートナーHMです。

積み立ててきたiDeCoやNISA、受け取りの直前になると“いつ・どれから・どうやって”に迷いが出ます。積み立ての時期は勢いでいけても、出口は目の前の税金や社会保険、退職金との重なりと向き合う場面が増えるからです。ここでは、細かい条文は脇に置いて、順番の考え方だけを手のひらに載せます。

まず、iDeCoは掛金が全額所得控除で、運用益も非課税。出口では“一時金”として受け取るか、“年金”として分割で受け取るかを選びます。一時金は退職所得の扱いになり、勤続年数に応じた退職所得控除が効きます。企業の退職金や企業型DCと年が同じ・近いと控除の枠を取り合う恐れがあるので、受け取りの年をずらすだけで手取りが変わることがあります。年金として受け取る場合は、公的年金等控除の枠に寄り添う形になります。どちらを選ぶかは、退職金や再雇用の有無、働き方のペースと一緒に考えると、答えが柔らかく見えてきます。

NISAは、非課税で売っても配当をもらっても税金がかからない“箱”です。出口で税金の心配は基本的にありません。ただ、“非課税の箱”から出した後のお金を、どんな順番で生活資金に回すかは考えどころです。課税口座の評価益・評価損、iDeCoの受け取り方、公的年金や再雇用の賃金──これらと組み合わせると、同じ資産でも“現金化の順番”で可処分の体感は変わります。

受け取り前にやっておきたいのは、たったひとつ。退職金・企業型DC・iDeCo・NISA、公的年金や再雇用の収入を“年ごと”に並べて、重なる年と空く年を見ておくことです。控除が厚く効く年に“一時金”を寄せるのか、働き続ける年は受け取りをずらして“年金”で薄く広くいくのか。家計の呼吸に合わせて、箱からの出し方を整えるイメージです。

よくあるもやもや

・退職金とiDeCoの一時金が同じ年だと、控除枠の使い方で差が出やすい。
・再雇用で給与が続く年は、“一時金を避ける”か“敢えてその年に寄せて次年を軽くする”か、家計の好みが決め手。
・NISAは原則非課税。だからこそ、他の収入・控除と“組み合わせで効かせる”発想が静かに効いてきます。

出口設計は、いったん紙に書くと急に簡単になります。数字はあとで公的な試算に合わせて整えれば十分。順番の設計図があれば、最後の“決める”が楽になります。

※本記事は一般的な考え方の紹介です。退職所得控除・公的年金等控除の適用、企業型DCの扱い、NISAの制度は法改正や個々の状況で変わります。最新のルールは公的機関や金融機関の案内で確かめる前提で読んでほしいです。