こんにちは、ライフデザインパートナーHMです。

突然の入院や、ある日から始まる通院の付き添い。介護は“合図”なしに暮らしへ入り込んできます。ここでいちど深呼吸。今の働き方を丸ごと変える前に、公的な支えと会社の制度をひと通り見渡し、現実の一日に静かに重ねていきます。

介護休業は、一定の要件を満たす家族のためにまとまった休みを取れる制度です。分割して取得できるようになり、段取りに合わせて小刻みに使う道が開けています。介護休暇は、通院の付き添いや手続きの日に、半日や時間単位で使える“小さなクッション”のような存在です。雇用保険には、介護休業中の生活を支える給付金も用意されています。

働き方の調整も、ひと息で決めなくていい領域です。フレックスタイムや時短、在宅勤務の組み合わせ。上司へ“続けたい”気持ちを先に伝え、業務の山谷に合わせて置き方を変えていく。介護保険のサービス(デイサービス、訪問介護、ショートステイなど)を生活の時間割に差し込むと、働く時間の“芯”が再び立ち上がります。地域包括支援センターに相談すると、使える制度が地図のように並びます。

家計は、増える費用と減る時間のはざまで揺れます。まずは今の収入をなるべく保つ工夫を優先し、介護の出費は“月いくら増えたか”を見守るところから始めましょう。必要なら、医療費控除や高額療養費の仕組みも隣に置いておく。支出は一気に完璧にせず、季節ごとに見直していけば十分です。

介護はマラソンに似ています。走り方をたびたび変えながら、今日のゴールを静かに迎える。その繰り返しで、働くことと支えることは、同じ暮らしの中に並びます。

もう少しだけ段取りを具体化します。1) 介護が始まったら、地域包括支援センターに連絡して“介護保険の申請とアセスメント”へ→ 2) 家族のカレンダーを一枚にまとめ、通院・送迎・食事作り・買い物の分担を仮置き→ 3) 勤務先の人事に“介護の可能性”を早めに共有し、在宅・時差出勤・短時間勤務などの選択肢を洗い出す→ 4) 介護休暇は“通院同行の日”に1〜2時間、介護休業は“退院直後の調整の週”に分割で置く→ 5) 1カ月後に生活と費用の実績を見直し。大がかりな改革より、軽い修正を重ねる方が折れにくいです。

よくある落とし穴は、“ひとりで背負う”と“急に全部変える”。家族や職場、ヘルパーやデイサービスへ“少しずつ渡す”のが続くコツです。費用は“定額の安心”を作る意識で。配食・掃除・見守りなど、月額の小さなサービスで山をならすと、突発的な出費も落ち着きます。

※本記事は一般的な考え方の紹介です。介護休業・介護休暇の取得条件や給付、会社の就業規則、介護保険サービスの利用要件は制度や自治体、事業所により異なります。最終判断は勤務先・自治体・公的機関の最新情報で確かめる前提で読んでほしいです。