交感神経を静めて腸を動かす“4-7-8スリープ呼吸”の真価

「寝つけない」「出ない」は神経の緊張かもしれません
夜、布団に入っても頭が冴えて眠れない。
朝、トイレに行っても便意が来ない。
この2つの悩み、実は交感神経の過剰な働きが共通の原因かもしれません。
緊張が抜けないと、腸も動かない
日中ずっと気を張って過ごしていると、
自律神経のうち「交感神経」が優位な状態が続きます。
これは“戦闘モード”に入っているようなもので、体は緊張状態。
その影響で──
- 血流が筋肉や脳に集中し、腸の働きが後回しに
- 腹部の筋肉が固まり、便の通りが悪くなる
- 呼吸が浅く速くなり、眠りも浅くなる
結果として、夜は眠れず、朝は出ないという悪循環が起きやすくなります。
そこで「4-7-8スリープ呼吸」
この呼吸法は、米国の医学博士アンドリュー・ワイル氏が提唱したもので、
自律神経を整え、入眠やリラックスを助ける非常にシンプルなテクニックです。
基本のやり方
- 息を鼻から4秒かけて吸う
- 息を止めて7秒キープ
- 口から8秒かけてゆっくり吐く
これを1セットとし、最初は4セット程度から始めてみます。
数字を数えることに意識が向くため、「思考の暴走」も自然に鎮まりやすくなります。
「呼吸」で腸が動き出す理由
この呼吸法が、ただのリラックス効果にとどまらないのは以下の理由からです。
❶ 副交感神経が優位になる
長く息を吐くことで、自然に心拍が落ち着きます。
これは副交感神経が働き始めたサインで、
腸も「いま動いていいんだ」とスイッチが入ります。
❷ 横隔膜がしっかり動く
7秒間息を止めることで、横隔膜の可動域が広がります。
この横隔膜の動きは、腸を下からやさしく揺らすマッサージのようなもの。
❸ 腹圧が自然に高まる
呼吸に集中することで腹部全体がゆるみ、
腹圧が過度に下がることも、逆に力みすぎることもなくなります。
寝る前のルーティンに組み込むコツ
- スマホは枕元に置かず、目を閉じて「呼吸だけ」に集中
- 最初は1セットだけでもOK。数よりも“深さ”を意識
- 毎晩の習慣にすると、身体が「今はゆるめる時間だ」と覚えてくれる
続けるとどうなる?
- 入眠までの時間が短くなる
- 朝の目覚めと同時に便意を感じる日が増える
- 日中も呼吸が浅くならず、疲れにくくなる
- 怒りや不安をコントロールしやすくなる
この変化は、腸内環境とメンタルのつながりを実感できるきっかけになるでしょう。
Q&A
Q. 数を数えるのが面倒で途中で集中が切れます…
A. 「秒数」ではなく「テンポ感」で覚えてもOKです。
リズムさえ整っていれば、正確にカウントする必要はありません。
たとえば「吸って、止めて、吐いて〜〜」と心の中で唱えるだけでも十分効果はあります。
Q. 呼吸が浅くて8秒吐くのがつらい…
A. 最初は4-4-4など、短めでも構いません。
大切なのは、吸うよりも長く吐くことです。
Q. 日中にやっても効果ありますか?
A. はい、むしろストレスを感じた瞬間に1セットだけ行うのも有効です。
緊張状態から抜ける「スイッチ」として活用できます。
Q. 腸が動いているかどうか、どう判断する?
A. お腹がグルグル鳴る、ガスが自然に抜ける、
便意がふっと来る、などがサインです。
まとめ
眠りと腸は、自律神経という“1本の線”でつながっています。
その線をやさしく整えるのが、「4-7-8スリープ呼吸」。
頑張らずにできる唯一のケアとして、
寝る前の3分だけ、そっと始めてみてはいかがでしょうか。